2009年11月11日 (水)

縁巻きの継ぎ方

竹籠や笊の縁巻きは、数ある作業工程の中でも最も緊張を要する仕事です。精神を集中して作業していても、縁巻き用ヒゴの両端が擦り切れたり、ヒゴとヒゴとの間に隙間が発生したりするだけでなく、最悪の場合は切れることもあります。縁巻きの場合は、一本の長尺ヒゴで巻き終えると、すっきりした感じになりますが、途中で止む無く継ぐことになりますと、慣れない間はその継いだ場所がなんとなく歪な状態になりやすいです。縁巻きを継ぐ時のポイントは5点あります。1点目は、今まで巻いてきた縁輪の右側一つ先にフチマキの道具を籠や笊の手前(皮側)から向う側(身側)に差し込み、先端を三角形に削った新たなヒゴの身側を上に、皮側を下にして、このフチマキに沿って手前から向こう側へヒゴを送り出す。2点目は、送り出した新しいヒゴの先端を左側の縁輪の隙間に差し込む。3点目は新しく差し込んだヒゴを縁輪にぴったりと密着させ、この上に今まで巻いてきた古いヒゴをかぶせる。4点目は、新しいヒゴをかぶせた古いヒゴの先端をフチマキに沿って籠や笊の向こう側(身側)から手前(皮側)へ新しいヒゴの下をくぐらせて引き出す。5点目は手前に引き出した古いヒゴの先端を籠や笊の巻きヒゴ、あるいは立竹の中に強く引き込んで切断する。このようにしますと、縁巻き用ヒゴを継いでも、あまり違和感は残りません。ヒゴ継ぎでの違和感をなくすコツは、新しいヒゴの先端近くのヒゴの幅を今まで巻いてきたヒゴの幅よりも少し狭くして、古いヒゴをこの上にピッタリかぶせることです。そうすれば、継いだ跡が目立たなくて済みます。縁巻きヒゴの継ぎ方に悩んでおられる方の参考になれば幸いです。

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2009年11月 5日 (木)

初心者向けザル編みマニュアル(ござ目編・第3版)

今年5月末日に公開しましたザル編みマニュアルの第1版について、同好の方々からご意見を頂いたものをベースに見直すとともに、この半年間実作業を繰り返して得た新しい知識や技術などを折り込み、内容をさらに充実させたうえで第3版を公開することとしました。本マニュアルはデータ量が大きい(A4サイズで表紙を含め39枚。127MB)ため、このブログにはアップロードができませんので、希望される方(但し、ヒゴ作りや竹籠作りが未経験の方には役に立たないので経験者のみに限定)は個別に連絡ください。当方の時間の都合がつく範囲で、データ便にてマニュアルを分割して送らせて頂きます。なお、本マニュアルの公開により、H21.5.31に搭載しました「初心者向けザル編みマニュアル(ござ目編・第1版)」は削除しました。「h21.11.5 ござ目編み・目次第3版.doc」をダウンロード

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2009年10月29日 (木)

白川合掌造り集落で出会った竹籠

古民家に行けば、半世紀以上も前に使用されていた竹籠や笊などを見ることができる場合が多いです。先週(10/20)、熊本から北陸地方(岐阜)へ出かけ、世界遺産に指定されている白川郷の合掌造り集落にある和田家と明善寺の二軒を訪ね、そこで保存されている箕や桑籠、笊(ショウケ)などを見学しました。江戸時代中期頃から、この地方は蚕産が盛んだったようで、合掌造りの屋根裏に蚕棚をはじめ桑籠など蚕を飼育する道具が多数展示されていましたが、これらの道具は熊本の農家の納屋や倉庫などに眠っているものとほとんど同じでした。このような印象を受けたのは、展示されている笊や籠が四つ目編み、六つ目編み、ザル目編み、あるいは網代編みなどの技術が用いられているからであり、編み方の基本については北陸も熊本も同じであることが改めて確認できた次第です。それにしても、展示されている籠や笊の大半は煤やほこりなどで全体的に黒っぽく変色しており、100年近い歳月が流れていることが推測できましたが、まだ使用可能な状態にあるのには驚きました。

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2009年10月23日 (金)

縁巻き時のヒゴの裂傷

笊の縁巻きは大変難しいです。特に、笊の芯となる縁輪や内輪を完全に丸い形に仕上げたうえで、輪の厚みを均等にしておくことが最低条件です。加えて、縁巻き用のヒゴの両端が作業の途中で擦り切れないような材料作りが必要となります。先日の教室で、縁巻き用のヒゴを作るため保管棚にある青竹を物色しましたが、入荷する直前の時期であったことから、残っている青竹が少なく適当なものがなかったので、竹の表面に黄色い斑点がついている柔らかい竹(口径70mm)を加工しました。竹に色がついているのが気になりましたので、縁巻きをする前に、念のため先生の意見を窺ったところ、竹の表面全体に斑点が付いていても耐久性上は問題ない、とのことでしたが、口径の大きい竹を縁巻き用として使用するのはよくない、と言われました。理由を尋ねますと、竹の表面はカマボコ形になっているため、どんなに丁寧なヒゴ作りをしてもヒゴの両端が一番薄くなるので縁巻きの過程で裂けやすくなる、とのことでした。口径45mm程度の小さい竹を四つ割りすると、カマボコ形の曲線があまり出ず、板状に近くなるため、これでヒゴを作ると両端の厚みもある程度維持できる、ということを初めて知り、新しい青竹の入荷を待って幅7.3mmのヒゴを作ってみました。その結果、今まで発生していたヒゴの裂傷もなく上々です。先生としては、このような事実は研修生には今まで繰り返し話しをしているという認識でしたが、教室に通って四年目にやっと耳にすることができ、竹の世界の奥深さを痛感した次第です。

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2009年10月17日 (土)

手指の触覚と笊作り

手作りの仕事は、出来栄えはあまりよくなくとも、なんとなく心に響くものがあり、気持ちも和みます。これは多分、作り手の一生懸命な気持ちがその作品に溶け込んでいるからだと思います。機械で作られたものは、みかけは整然として非のうちどころがありませんが、親しみはあまり感じません。パソコンで文字を書くよりも、人の手による文字の方が味わいを感じますのも、似たようなことかもしれません。人は視覚、嗅覚、味覚、触覚、聴覚などの五感を通常は持っています。手作りの仕事ではこれらの全ての感覚が動員されますが、陶器、家具、絵画、木工、染物など物作りの種類によって、当然ながら使用頻度の濃淡はあります。竹細工では特に、視覚、触覚、聴覚を使用し、中でも触覚を一番使います。過去に、目隠しをしながら竹ヒゴを作っている職人を見たことがありますが、このような特殊な芸当は触覚が鋭くなければできないことは、実際にやってみて容易に理解できます。笊作りに取り組み出してから、手指の微妙な触覚が少しばかり理解できるようになりました。幅2mm程度の竹ヒゴをゴザ目編みで編んだり、縁輪の端で竹ヒゴを折り曲げて編む時は、手袋をしていては皮膚感覚が鈍るため、うまくいきません。手指の皮膚は、ヒゴの厚さや形などを瞬時に見分けることができます。さらに、竹ヒゴに皮膚が吸い付くため、極め細かい仕事が可能となります。笊作りをするまでは、手指の皮膚にこのような素晴らしい機能が存在することは、自覚していませんでした。やはり、物作りの基本は「素手」にあるようです。

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2009年10月 8日 (木)

中型(直径43cm)丸笊

笊作りは技術的に難易度が高く、作るたびに反省点ばかりが残りますのでかなり腰を据えて取り組まないと、挫折しそうです。最初の間は、練習のつもりで気楽に取り組んでいても作業工程が進み、ある程度の型が出来てきますと、いつの間にか真剣勝負しているもう一人の自分が現れ、「妥協するな!手抜きするな!最初からやり直せ!」などと叱咤するので精神が大変緊張します。物作りというのは、ある面では自分との戦いです。笊作りの場合は、特に正確なヒゴを自由自在に作れる技術力と縁巻きでの繊細な応用力が求められます。どちらも未熟であるが故に、似たような失敗が絶えませんが、希望を捨てると理想も実現しませんので、今までよりも少しでもよい笊を作ることを目標にして、挑戦している次第です。ここ2ヶ月余りでは、大型の笊(直経60cm、深さ19cm )を3個作りましたが、この笊を家庭で使うのには大き過ぎますので農家で使ってもらっています。技術力を早く身につけるには、同じ規格の笊だけを数多く作った方がよいのですが、今回は気分転換を兼ねて、中型の笊(直径43cm、深さ13cm)を作りました。出来上がった作品を見ますと、笊全体の形はイメージ(亀の甲の形)に近いものとなりましたが、課題はやはり縁巻きです。プロの縁巻きは寸分の隙間もなく、縁輪に吸い付くように美しく巻き込まれており、その名人芸にはいつも感嘆します。趣味の世界で竹と遊んでいますので、あまり自分を追い詰める必要はありませんが、日常は精神が緩んでいますので、少しは緊張する時間があってもいいのではないか、と考えているところです。

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2009年10月 5日 (月)

竹籠や笊作りに使用している小道具

竹籠作りを習い始めの頃の道具は竹包丁、ノコ、ヒゴカサネなど、せいぜい10点程度あれば足りていました。ところが、作品を作るたびにヒゴ作りのまずさが目立つので、二年目になって先生に無断でまず「幅引き」(13,000円)を買い求めました。この幅引きはある程度均質なヒゴ作りができていないと、仕事が二度手間になること並びに安易に幅引きを使用すると、いつまでもヒゴ作りの技術が身に付かない、との理由で初心者は使用禁止でした。そのため、自宅で専ら使用しました。この幅引きのおかげで、ヒゴの幅を0.1mm単位で揃えることが可能となり、作品の見栄えも一段とよくなりました。籠や笊の美しさは、用途に応じた道具の使い分けと材料の質、並びに作り手のバランス感覚から生まれます。納得のいく作品を作るために新しい道具を多少追加しましたので、現時点では全部で34点となりましたが、一番重宝しているのは幅引きと面取り包丁、それに水を溜める合成樹脂の容器(内経68cm×40cm、高さ18cm)です。
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2009年9月25日 (金)

竹細工での仕事着

竹細工教室での仕事着を見ますと、特に男性の場合は私自身を含め、うす汚れたドブネズミルックが大変多いです。ヒゴ作り等での切り屑で衣類が汚れることが分かっているため、汚れても気にならないものを身につけているわけですが、当事者は気にならなくとも第三者から見た場合はイメージはよくないです。特に、暑い夏場では首にタオルを巻き、シャツはズボンの外に出して作業する人もいます。同じタオルでも巻き方を工夫すれば多少フアッション化し見た目もよくなりますが、無造作な格好をしていますと、その人の精神自体もだらしなく感じられ、気になります。手仕事の世界では、使用する材料にもよりますが、一般的には衣類が汚れる仕事が多いようです。例えば、陶磁器や染め織物などもそうですし、和紙作りもそうです。先日、藍染めの作業現場を見ましたが、そこでは自分で染めた美しい濃紺の絣を着て作業されているのが印象的でした。衣類の着こなしが、その人の精神を現すこともありますので、これからは竹ヒゴ作りでも「作務衣」とまではいかなくとも、せめて洗いざらしの綿のズボンやシャツなどを身に着け、気持ちを引き締めて取り組もうか、と考えているところです。H21313_003 H20713_004 H2068_015 H19107_008

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2009年9月 9日 (水)

みそこし笊

今年は笊をテーマに取り組んでいますが、まだ頭の中の知識で手足が動いていますので失敗ばかりで、作品も荒削りとなりがちです。笊の種類も丸笊の大小をはじめ、そば笊、盛皿、砂笊、片口しようけ、平口笊など種類と規格が豊富なため、これらの技術習得には軽く10年以上の歳月が必要な気がします。自分で自由になる時間も限られていますので、笊についても丸笊をベースとした日常生活に使うものを中心に作品作りをしていきたい、と考えています。丸笊の作り方がある程度理解できますと、種類の異なった笊についての応用も可能となります。そこで、先日の教室では、みそこし笊(直経27cm、深さ9cm)を自分なりに作ってみました。縁輪以外の材料は真竹を使用しましたが、縁輪だけは孟宗竹を使いました。この笊では幅5mmの立竹を8本、ヒゴは三種類(2.5mm、2mm、1.5m)、加えて幅7mmの縁巻き用ヒゴを用いました。今回は笊の芯となる縁輪に厚さ7mm、幅1cmの孟宗竹を使用したため、笊の大きさと比較しますと縁輪が厚くなりすぎました。先生によれば、厚さ7mmの縁輪は一斗笊用のものであり、みそこし笊のような小さい笊の縁輪は半分の3.5mm程度でよい、とのことでしたが、その時は笊の大半が出来上がっていましたのでそのまま作り上げました。縁輪については、今まで何度も硬さの面で失敗していましたので、それが頭にあって小さい笊についてもつい厚めのものを作ってしまった次第ですが、これもよい経験だ、と考えています。H2197_010_2 H2197_011 H2197_007 H2197_005 H2197_001 H2197_003_2

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2009年9月 3日 (木)

1年前の竹ヒゴで作った野菜籠

籠作りには古い材料は基本的には使わないようにしていますが、1年前に作製した荒ヒゴが痛まずに残っていたので、編みヒゴとして使用に耐えるかどうか確かめるため7寸の野菜籠(口径32cm、高さ21cm )を作ってみました。結論として、青物としての新鮮さは失われてはいますが、十分使用できることが確認できました。しかし、縁輪と縁巻き用ヒゴ、底当て、それに柄は作りたてのものでないと具合が悪いです。古いヒゴ自体は乾燥してパリパリになっていますので、そのままで使用しますと折れたり割れたりします。荒ヒゴを細かく割ったり、面取りする場合は、そのままの状態で作業しても支障ありませんが、編みヒゴとして使用する場合は、水に1~2時間程度浸して柔らかくしておく必要があります。水分を十分含ませて作業しますと、ヒゴも自由に動いてくれます。籠作りに要する時間の大半がヒゴ作りですので、何かの事情で急いで作る必要(趣味で作る分についてはあまり急ぐ必要もありませんが・・・)がある場合は、古ヒゴを利用すれば時間の節約になることは確実ではありますが、出来上がった作品には新鮮さが感じられないことが残念です。H21831_003 H21831_001 H21831

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